ORIGIN STORY|約10分

「1円の損得」より
「一生の納得」を。

ダブルバーガーの記憶と、私が不動産に込める想い

相続・借地権・底地に関する不動産の問題を、 売却価格や節税だけで決めないのはなぜか。 私が「家族軸」という考え方に至るまでの原体験を、ありのままにお伝えします。

相談者の話を聞く株式会社ユー不動産コンサルタント代表の脇保雄麻
株式会社ユー不動産コンサルタント 代表取締役 脇保 雄麻

BEFORE YOU READ

この話を公開する理由

不動産の相談は、金額も大きく、家族や相手方との関係にも影響します。 「どの会社に頼むか」だけでなく、「誰が、どのような考えで担当するのか」を知ったうえで相談先を選びたい方も多いと思います。

私の経歴には、成功したことだけでなく、違和感を抱いたこと、思うようにいかなかったこと、 自分自身の見方を変えなければならなかった時期があります。それらを含めてお伝えすることで、 私がなぜ、想いと不動産の現実を一緒に整理するのかを知っていただければと思います。

01

ORIGIN|価格ではなく、人生にとっての重要さ

ダブルバーガーの記憶

子どもの頃、マクドナルドは我が家にとって高級品でした。

家計に余裕はなく、外食は一世一代のイベントでした。ある日、父が意を決したように、 私と兄弟をマクドナルドへ連れて行ってくれました。

「ハンバーガーか、チーズバーガー。好きな方から一人一つ選びな」

当時は80円のハンバーガーでも十分なごちそうでした。 けれど幼かった私は、少し高いダブルバーガーを選びました。 兄弟三人に、一つずつ包みが手渡されました。

父は財布をのぞき込み、ぽつりとつぶやきました。

「……お釣りが合わないな」

数十円の違いも許されないほど、家計はぎりぎりだったのだと思います。 私一人がダブルバーガーを注文していたことに気づいた父の手が止まり、 張り詰めた沈黙のあと、父は激しく怒りました。

「もう二度と、連れて行かない」

結局、それが子どもの頃の私にとって、最初で最後のマクドナルドになりました。 友達がビッグマックの話で盛り上がる中、食べたことのない私は、仲間外れになるのが怖くて 「おいしいよね」と話を合わせていました。

心の中では、「いつか、絶対にビッグマックを食べてやる」と思っていました。

当時の私には、「欲しかったものを選んだら怒られた」という記憶でした。 父の立場や、限られた家計の中で子どもを喜ばせようとした気持ちまで、考えることはできませんでした。

02

CONFLICT|数字で評価される仕事の中で

会社の利益か、目の前のお客様か

大学卒業後、私は「もうお金で苦労したくない」という思いから、資産運用商品の営業職に就きました。 電話で新しいお客様へ営業する毎日でしたが、本気で取り組み、営業成績は全国2位となり、収入も増えました。

子どもの頃に心の中で思い描いていた、「お金に困らない生活」へ近づいたように感じました。

しかし、売れば売るほど、心には違和感が募りました。

評価されるのは「どれだけ売ったか」。

お客様に本当に必要かどうかより、会社の利益が先に置かれてはいないか。

成績が上がっても、この問いは消えませんでした。 私は、営業成績がよい時期に会社を辞める決断をしました。

今振り返ると、この頃の私は「会社のやり方に違和感がある」ということは分かっていても、 自分がどのような仕事をしたいのかまでは、まだ明確に言葉にできていませんでした。

03

REAL ESTATE|取引額と悩みの深さは一致しない

不動産の世界で感じた違和感

退職後は実家のリフォーム業を手伝いながら宅地建物取引士の資格を取得し、 2006年に信託銀行系不動産会社へ入社しました。

「今度こそ、お客様に喜ばれる仕事をしたい」と、売買仲介や土地活用の仕事に取り組みました。 お客様から感謝され、社内で評価を受けたこともありました。

一方で、不動産業界でも、取引額と効率が優先される構造に直面しました。

売買価格が低い物件や、権利関係が複雑で確認事項が多い案件は、 必要な手間に対して仲介手数料が低くなります。そのため、相談者が深く困っていても、 「効率が悪い案件」として後回しにされやすい現実がありました。

私自身も、複雑な案件を断るよう求められ、悔しい思いをしたことがあります。 それでも、目の前のお客様が抱える問題から逃げたくありませんでした。

忘れられない経験

再建築できないと思われていた不動産

隣地との複雑な境界問題や法的な条件を一つずつ確認・調整し、建替え可能な状態にして売却できた案件があります。 お客様からいただいた涙と感謝の言葉は、今も忘れられません。

不動産の価値は、価格表だけで決まるものではありません。 前提条件を確認し、関係者と調整することで、初めて見えてくる選択肢があります。

04

INDEPENDENCE|組織を離れれば解決すると思っていた

独立後に直面した現実

「組織の枠に縛られず、本当にお客様のためになる仕事がしたい」。 その思いから、2011年に株式会社ユー不動産コンサルタントを設立しました。

当初は、売買価格によって報酬が大きく変わる仲介手数料の仕組みに疑問を持ち、 仲介手数料の定額サービスにも取り組みました。 しかし、他社が売却依頼を受けた物件を自社だけで扱おうとする商慣習の壁にぶつかり、 理想だけではお客様へ十分な選択肢を届けられない現実を知りました。

その後、信頼していたパートナーと始めた事業も解消することになりました。 「正しいと思うことをしているのに、なぜうまくいかないのか」。 私は再び立ち止まり、自分の仕事の進め方そのものを見直すことになりました。

問題は、会社や業界の仕組みだけではない。
自分の考える正解を、相手へ急いで押しつけてはいなかったか。
05

TURNING POINT|見方を変えるための学び直し

「自分軸」から「相手軸」へ

仕事も自分自身も根底から見直したいと考え、国内外の研修や学びの場へ参加しました。 大きな費用をかけて、アメリカで開催されたアンソニー・ロビンズ氏の研修へ参加したことも、その転機の一つです。

そこで気づかされたのは、それまでの私は無意識に、 「自分がどう成功するか」「自分の正しさをどう理解してもらうか」という視点から物事を見ていたことでした。

相手の靴を履き、その人の視点から見る。

この人は何を求めているのか。その背景には、どのような事情と想いがあるのか。

見る方向を「自分」から「相手」へ変えたとき、長年心に残っていたマクドナルドの記憶も違って見えました。

父は、子どもを喜ばせたくて、余裕のない家計の中から外食へ連れて行ってくれた。 あの日の怒りだけでなく、その前にあった父の精一杯の愛情を、初めて受け取ることができました。

「自分に何をしてくれなかったか」ではなく、「相手は何を守ろうとしていたのか」。 その視点は、家族や不動産の相談を受ける際の大切な判断軸になりました。

THREE PROMISES

現在の相談で大切にしている三つのこと

相手の想いを汲み取りながら、現実的に判断できる状態をつくるための約束です。

01

話し合う前に、
事実と論点を整えます

登記、契約、利用状況、時価、相続税評価、収支、期限を確認し、 誰と何を話す必要があるかを見える形にします。 専門用語を使わず、分かりやすい言葉でお伝えすることをお約束します。

02

想いと不動産の現実を、
どちらも置き去りにしません

遺す人と受け継ぐ人、地主と借地人など、それぞれの事情を確認し、 実現可能性と将来負担を踏まえて優先順位を整理します。 決して「売却」など特定の結論を急がせることはありません。

03

比較・対話・実行の
順番を設計します

一つの方法を先に決めず、選択肢を比較し、誰に何をどの段階で話し、 どのように実行するかを設計します。

FAMILY-AXIS DESIGN

不動産を「争点」にせず、
家族の明るい未来を守るために

不動産の仕事に20年以上携わる中で、売却、節税、建築などの方法が先に決まり、 その後に家族の暮らしや管理負担の問題が表面化する場面を見てきました。

相続税上の評価が高くても、実際には売りにくい不動産があります。 収益があっても、修繕、借入、管理、権利調整が次世代の負担になることがあります。 反対に、数字だけでは測れない家族の記憶や、残したい理由もあります。

だからこそ、売る・残す・建替えるといった方法を決める前に、 「想い」「権利」「価値」「収支」「将来負担」を同じ判断材料として並べる必要があります。

私が考える「家族軸相続設計」

家族全員の希望をそのまま実現することではありません。 遺す人が大切にしたいことと、受け継ぐ人の暮らし・管理負担を確認し、 不動産の現実を踏まえて、優先順位と進める順番を整えることです。

  1. STEP 1

    事実と判断材料をそろえる

    名義・契約・時価・評価・収支・維持費・期限を確認します。

  2. STEP 2

    立場と想いを整理する

    遺す人と受け継ぐ人、地主と借地人などの事情を確認します。

  3. STEP 3

    比較・対話・実行の順番を設計する

    選択肢を比べ、誰に何をどの段階で話すかを整えます。

2025年全国不動産コンサルティングフォーラムの表彰

PRACTICE

想いを、実現可能な計画へ変える

2025年、借地権を相続した姉妹の「実家を残したい」という想いと、 地主、近隣、二次相続までの課題を整理した事例が、全国不動産コンサルティングフォーラムで優秀賞を受賞しました。

想いを聞くだけで終わらず、契約、権利、建替え、費用、将来の相続まで確認し、 関係者にとって現実的な実行方法へ落とし込んだ事例です。

公益財団法人 不動産流通推進センター掲載事例を見る

EPILOGUE

ビッグマックを食べるたびに、思い出すこと

私は今でも、仕事の節目でマクドナルドに立ち寄ることがあります。 ビッグマックを食べると、あの日の父と、今、私を頼ってくださる相談者の顔を思い出します。

本当に大切だったのは、ビッグマックを食べることではありませんでした。 限られた中でも子どもを喜ばせようとした、父の想いを受け取ることでした。

不動産相続も同じだと考えています。 遺す人には遺す人の想いがあり、受け継ぐ人には、その後の暮らしと負担があります。 地主と借地人にも、それぞれの歴史と事情があります。

どちらか一方の正しさを押し通すのではなく、相手の想いを汲み取り、 不動産の現実を確認し、話し合う順番を整える。 不動産が原因で家族や人間関係が壊れない未来をつくることが、私の使命です。

「1円の損得」より、「一生の納得」を。
想いと現実の両方を確かめながら、次の一歩を一緒に整理します。

株式会社ユー不動産コンサルタント
代表取締役 脇保 雄麻

FOR THOSE WHO RESONATE

この考え方に共感していただけた方へ

まだ売却や相続方法を決めていなくても大丈夫です。 現在の状況と、本当は何を大切にしたいかをお聞かせください。 代表の脇保が内容を確認し、適した相談先と進め方をご案内します。

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