強行規定と任意規定

契約書に記載している事項に記名押印しているのだから契約書に記載されていることは絶対なの?あまりにも買主に不利な契約条文でも有効なの?実は、無効になる場合があります。

 

こんにちは。

台東区上野で不動産問題解決コンサルティング仲介の

株式会社ユー不動産コンサルタント脇保雄麻です。

 

今回は「不動産取引における強行規定と任意規定」についてです。

売主と買主間で取決めた契約は、原則自由に取引できます。

それが契約自由の原則と言われているものです。ただし公序良俗に反するものは無効とされております。

 

では、公序良俗に反しない限り契約自由の原則だから売主と買主間で取決めた契約は全て有効になるのか?

その答えをまとめます

 

契約で取決めた事項は無効になることも

公序良俗に反しない限り契約自由の原則だから売主買主間で自由に取り決めできるというわけではありません。

売主買主間で任意に取り決めた事項を特約で契約することを任意規定といいます。

不動産取引において、知識の差は大きいです。

仮にプロである不動産業者が売主となり一般消費者が買主となる契約で

売主に有利となる契約を買主が契約書に記名押印したから全て有効になるとは限らないという事です。

売主に有利になる契約という説明では誤解を生じてしまいますが、

法律に反する契約は無効となるという事です。

それが強行規定というものです。

不動産取引では、宅建業法や借地等での契約であれば借地借家法で強行規定の条項が挙げられております。

宅建業法や借地借家法は特別法と言われているもので

その条文の中に規定に反する取り決めは無効とされている条項があります。

それを強行規定といいます。

任意規定とは

任意規定とは、売主買主間で法律で取決められた条文の規定を変更し特約で取決める既定の事です。

不動産取引においての任意規定は、売買契約の特約事項で売主と買主間での取り決め事項を作成することとなります。

商人間売買の場合

例えば、売主が不動産業者ではない一般法人での取引の場合で任意規定の特約事項を設けることがあります。

売主および買主が一般法人の場合での不動産売買は商法が適用されることになります。

(買主による目的物の検査及び通知)
第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。

商法の適用になると売主が6か月間は担保責任を負うことになります。

しかし、売主の一般法人は不動産を現状有姿で売却したいと考えているのであれば、任意規定で商法526条を適用しないとする不動産売買契約の特約事項を設ける必要があります。

 

個人間売買の場合

売主が個人で不動産を売却の場合です。

仮に不動産売買契約書に売主の担保責任の規定を設けなかった場合はどうなるでしょうか?

民法の規定が優先される可能性が高いです。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

民法での担保責任は、不適合を発見してから1年以内に買主が売主に対して請求できることとなっております。

極端な話は、不動産を引き渡して10年後に土地の実測したら面積が売買契約書の面積と違うから金銭を請求されるという可能性があるという事です。

ただ、安心してください!

不動産売買契約書の標準的な契約書には担保責任の規定は初めから条文に入れこまれているのが一般的です。

個人間での売買で、売主の担保責任期間は引き渡してから3カ月という事が多いです。

売主が不動産を現況有姿で売却したいという事であれば

売買契約書の特約で売主が担保責任を負わないとする規定は任意規定となりますので有効です。

強行規定とは

強行規定とは、売主および買主間で法律で取決められた規定を変えた特約は無効となる規定のこと。

売主が宅建業者の場合

先ほどの売主が一般法人の場合や一般消費者が売主の場合であれば担保責任を任意規定で買えることは可能でした。

しかしながら

売主が不動産業者の場合は、宅建業法で強行規定となりますので担保責任は決められております。

(担保責任についての特約の制限)
第四十条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、無効とする。

売主が、不動産業者の場合であれば引き渡してから2年以上の担保責任を覆う事とされております。

宅建業法四十条の2を見ていただくと、

「前項の規定に反する特約は、無効とする。」とあります。要するにこれが強行規定です。

仮に売主が不動産業者で不動産売買契約書特約事項で売主は担保責任を一切負わないとする規定は無効となるわけです。

無効となった場合は、民法の規定が適用される可能性があるという事です。

民法の担保責任が適用になった場合は、先ほども説明しましたが買主が不具合を発見してから1年以内であれば売主に請求することが出来るという事です。

借地借家法の強行規定

借地借家法の条文には、強行規定と記載されております。

借地借家法で9条・16条・21条・30条・37条が強行規定として規定があります。

借地借家人間で取り決めをして契約をしたとしても、強行規定として反するものは無効という事です。

(強行規定)
第九条 この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。

(強行規定)
第十六条 第十条、第十三条及び第十四条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。

(強行規定)
第二十一条 第十七条から第十九条までの規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。

(強行規定)
第三十条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

(強行規定)
第三十七条 第三十一条、第三十四条及び第三十五条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。

*上記条文は新法借地での条項です。

まとめ

売主と買主との間で取り決めした事項であったとしても全てが有効とは限らない。

不動産取引は大きな金額での売買になるため知識の差は大きな損失につながります。プロである不動産事業者と何もわからない一般消費者との契約は、わからないままでの契約はリスクが高いということです。

不利な取引にならないように信頼できる担当者をエージェントとして依頼しましょう。

売主が宅建業者であれば直接売主と契約することで仲介手数料は支払わなくて済みます。

しかしながら、相手は不動産のプロです。

仲介手数料を支払わなくて済むからと言って、

売主に有利な契約で進めて市うあうことほどリスクが高い買い物はありません。

結局は安かろう高かろうになってしまいます。

不動産取引の仲介を依頼するのは、

どこの会社に依頼するかというよりも、

誰に依頼するかが重要です。

契約書類の作成や書類だけのチェックでけでもご相談承っておりますので

お気軽にご動産ください。

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