「お母さん、そろそろ実家の土地や貯金のこと、考えておかない?」
勇気を出して実家に帰った際にそう切り出したら、
「私を早く死なせたいの!?」
「縁起でもない!」
と親を激怒させてしまった。あるいは、急に無口になられてしまい、それ以降「相続」の「そ」の字も出せなくなってしまった……。
あなたも、そんな苦い経験はありませんか?
良かれと思って話題を振ったのに、なぜか親の逆鱗に触れてしまう。
実は、親が怒ってしまう最大の理由は、
「相続」や「財産整理」という言葉が、自分の人生の終わり(死)を強烈に突きつけられているように感じるからです。
では、どうすれば親の機嫌を損ねず、平和に将来の財産の話ができるのでしょうか。
この記事では、「死(終わり)」ではなく「生(これからの楽しみ)」にフォーカスすることで、自然と実家の財産整理の話へと着地させる「やりたいことリストでのアプローチ」の具体的な3つのステップをお伝えします。
今日からすぐに使える会話のフレーズも紹介しますので、ぜひ次の帰省の際の参考にしてみてください。
ステップ1:「これからやりたいこと」を一緒に書き出す
親にいきなり「あなたの死後について」と伝えると、どうしても拒絶反応が出てしまいます。
そこで、最初のステップでは、相続の話題は一切出さずに、純粋にこれからの人生の楽しみについて語り合うことから始めます。
ポイントは、「エンディングノート」といった終わりの準備ではなく、「バケットリスト(やりたいことリスト)」を作る提案をすることです。
【会話のきっかけフレーズ】
「お母さん、せっかく時間もできたことだし、
これから家族でやりたいことや、行きたい場所のリストを一緒に作ってみない?
温泉旅行でもいいし、昔よく行ってたレストランに行くでもいいし。
10個くらい書き出して、一つずつ叶えていこうよ!」
このように、楽しい未来の計画として持ちかけられれば、親は「死」を連想することなく、全く抵抗なく乗ってきてくれます。
では、リストを書き出し始めたら、あなたはどう反応すれば良いのでしょうか?
ステップ2:リストを共有し、実行の計画で盛り上がる
親が「あそこの温泉に行きたい」「庭で新しい花を育てたい」と希望を話し始めたら、「そんなの無理だよ」「お金がかかるよ」などと絶対に否定しないでください。
リストを見ながら、具体的にワクワクする計画を立てて盛り上がることが第二のステップです。
実は以前、私の元にご相談に来られたCさん(40代・女性)という方がいました。
Cさんは、「親が最近出不精になってしまい、将来の備えの話をすると塞ぎ込んでしまう」と悩んでいました。そこでこの「やりたいことリストでのアプローチ」を試してもらったところ、驚くべき変化がありました。
Cさんがリスト作成を提案すると、お母様は最初は戸惑っていましたが、「昔の友人に会いに京都へ行きたい」「孫と水族館に行きたい」と、少しずつ希望を語り始めました。
Cさんが「いいね! 京都なら来月の連休にすぐ行こうよ! ホテル調べてみるね」と一緒に盛り上がると、お母様の表情はパッと明るくなり、すっかり生きる活力を取り戻したそうです。
「まだまだ自分の人生には楽しいことが待っている」と実感できると、人は前向きな感情で満たされます。親子の関係性も非常に良好な状態になります。
親の気持ちが十分に前向きになったタイミングで、いよいよ最終ステップです。
ステップ3:本題(楽しむための不安解消=財産整理)へ着地させる
楽しい計画が立ち、親の心が満たされたら、その流れを切らさずに「この楽しい計画を心置きなく実行するために、ちょっとした心配事を片付けてしまおう」と提案します。
【着地(提案)のフレーズ】
「このリストの計画、全部実行しようね! 本当に楽しみだね。
ところで、こうやってこれから思い切り人生を楽しむために、
頭の片隅にある『もしもの時の心配事』は、今のうちに全部スッキリ片付けておかない?
例えば、
通帳の場所とか、いざという時の連絡先とか、簡単なことだけでもノートにまとめておけば、
あとは何も気にせず旅行も楽しめるじゃない? 私が手伝うから、次の週末にでもサクッと整理しちゃおうよ。」
「死に支度をしろ」と要求するのではなく、あくまで「残りの人生を100%楽しむためのクリアリング(不安解消)作業」として提案することが最大のポイントです。
楽しい未来が待っている状態であれば、親御さんも「そうだな、面倒なことは先に片付けて、あとは思い切り遊ぼう」と、自発的に腰を上げてくれるはずです。
まとめ:まずは「これからの楽しみ」を語り合うことから
親が相続の話で怒るのは、「子どもに人生の終わりを急かされている」と感じるからです。
今回お伝えした「やりたいことリストでのアプローチ」は、親のこれからの人生を肯定し、明るい未来に寄り添うコミュニケーションの一つです。
「親の財産を聞き出さなきゃ」と身構える必要はありません。
まずは今度実家に帰った時、お茶を飲みながら「これから一緒に行きたい場所、書き出してみない?」と、あなたから提案するところから始めてみませんか?
その一言が、親のプライドを守りながら、家族の将来について平和に話し合える大きなきっかけになるはずです。
