「お父さん、そろそろ相続のこと、考えておかない?」
勇気を出して実家に帰った際にそう切り出したら、
「俺の財産をあてにしているのか!」
「縁起でもない!」
と親を激怒させてしまった。あるいは、不機嫌になられてしまい、
それ以降「相続」の「そ」の字も出せなくなってしまった……。
あなたも、そんな苦い経験はありませんか?
実は、親が怒ってしまう最大の理由は、
子どもから「財産を管理・指示される」ように感じて、
親としてのプライドが傷ついてしまうからです。
では、どうすれば親の機嫌を損ねず、
平和に将来の財産の話ができるのでしょうか。
この記事では、親を「管理される対象」ではなく
「人生の先輩・アドバイザー」として立てることで、
自然と実家の財産整理の話へと着地させる
「自分の将来の相談から入るアプローチ」の具体的な3つのステップをお伝えします。
今日からすぐに使える会話のフレーズも紹介しますので、
ぜひ次の帰省の際の参考にしてみてください。
ステップ1:第三者の事例を挙げて「自分ごと」として相談する
親にいきなり「あなたの財産について」と伝えると、どうしても警戒されてしまいます。
しかし、親はいつになっても
「子どもから頼られたい」
「自分の経験からアドバイスしてあげたい」
と思うものです。
そこで、最初のステップでは、親の財産の話ではなく
「あなた自身(子供)の将来の不安についての相談」
から入ります。
ポイントは、テレビのニュースや知人の話など、第三者の事例を使って話題を振ることです。
【会話のきっかけフレーズ】
「この前、会社の先輩の実家で相続のトラブルがあったらしくてさ。
兄弟が多くて、孫まで相続人になっているらしくて未だに揉めているみたいなんだ。
それを聞いてたら、
なんだか私たち夫婦の老後や子供たちの将来のことも急に不安になってきちゃって。
お父さんたちは、私たちのくらいの歳の時、将来の備え(私たちをどう守るか)ってどう考えてたの?」
このように、「自分の死後の話」ではなく「子どもの将来の悩み」として相談を持ちかけられれば、親は警戒することなく、人生の先輩として語りやすくなります。
では、親が自分の経験を話し始めたら、あなたはどう反応すれば良いのでしょうか?
ステップ2:親の経験談に耳を傾け、共感する
親が
「俺たちの時はこうだった」
「こういう準備をしておいた方がいいぞ」
と話し始めたら、
絶対に否定したり、途中で口を挟んだりしないでください。
まずはしっかりと耳を傾け、共感することが第二のステップです。
実は以前、私の元に「親が頑固で全く相続の話をしてくれない」と
ご相談に来られたAさん(50代・男性)という方がいました。
Aさんにこの「自分の将来の相談アプローチ」を試してもらったところ、
驚くべき変化がありました。
Aさんが「自分の将来の備え」についてお父様に相談したところ、
お父様は「お前はまだそんなことも考えていないのか!」と最初は呆れながらも、
自分が30代の頃にどんな苦労をして家を建てたか、
どうやって貯金をしてきたかを、
2時間近くも嬉しそうに語ってくれたそうです。
Aさんが「なるほど、お父さんはそんな風に考えて家族を守ってくれてたんだね。
すごく参考になるよ」と深くうなずくと、
お父様の表情はみるみる和らぎました。
子どもから頼られ、自分の経験が役立ったことで、親の自尊心が大きく満たされたのです。
「もっとこの子の力になってやろう」という前向きな感情が生まれれば、心のシャッターは完全に開きます。
親の心がほぐれ、アドバイザーとしての立場が確立されたところで、いよいよ最終ステップです。
ステップ3:本題(実家の財産整理)へ着地させる
親が気持ちよくアドバイスをしてくれたら、
その流れを切らさずに、「自分たちだけでは解決できないもう一つの問題」として、
実家の話へスライドさせます。
【着地(提案)のフレーズ】
「お父さんのアドバイスを聞いて、
私たち夫婦のことは少し整理できそうだよ、
ありがとう。
ただ、もう一つだけ不安なことがあって……。
万が一のことがあった時、先輩の家みたいにもめずに、
お父さんたちが大切にしてきたこの家や財産を、
私たちがもめずにしっかり守っていけるかどうかが心配なんだ。
私たちが将来困らないように、
今のうちに
『何がどこにあるか』や『私たちにどうして欲しいか』というお父さんたちの希望を、
アドバイスとして少しずつ教えてもらえないかな?」
「財産を管理させろ」と要求するのではなく、
あくまで「親の想いを正しく引き継ぐためのアドバイスが欲しい」
というスタンスをとることが最大のポイントです。
ここまで「頼れる親」としてのプライドが満たされていれば、
親御さんも「仕方ない、子どもが困らないように少し整理してやるか」と、
自発的に動く理由を持つことができます。
まとめ:まずは「あなたの悩み」を打ち明けることから
親が相続の話で怒るのは、
「子どもに人生の終わりを急かされている」
と感じるからです。
今回お伝えした「自分の相談アプローチ」は、
親を人生の先輩としてリスペクトし、
感情に寄り添うコミュニケーションの一つです。
「親の財産を聞き出さなきゃ」と身構える必要はありません。
まずは今度実家に帰った時、お茶を飲みながら「最近、将来のことが不安でさ……」と、
あなた自身の悩みを打ち明けるところから始めてみませんか?
その一言が、親のプライドを守りながら、
家族の将来について平和に話し合える大きなきっかけになるはずです。
