「相続対策は必要だと思うけれど、何から始めればよいのか分からない」
「不動産を購入すると相続税が安くなると聞いたが、本当に大丈夫なのか」
「所有する不動産が多く、子どもたちにどのように分ければよいか決められない」
あなたが自宅や賃貸物件、貸宅地、借地権、遊休地などを所有している場合、相続対策を「節税」だけで考えてはいけません。
不動産の相続対策で最初に考えるべきことは、相続税を減らすことではなく、次の3つを同時に成立させることです。
- 家族が揉めずに引き継げるようにする「分割対策」
- 相続税を期限までに支払えるようにする「納税対策」
- 財産を減らし過ぎずに税負担を抑える「節税対策」
特に不動産は、現金のように簡単に分けられません。
相続税を下げる目的で不動産を増やした結果、子どもが管理できない賃貸物件や売れない土地を引き継ぎ、かえって家族の負担が大きくなることもあります。
この記事では、不動産を所有するあなたが、何をどの順番で確認すればよいのかを具体的に解説します。
そもそも相続対策は必要か|「うちは大丈夫」が一番危ない
「うちは財産が少ないから相続税はかからない」と思っている方ほど、実は分割で揉めるケースが目立ちます。相続税がかからない家庭であっても、遺産分割協議(相続人全員で財産の分け方を話し合う手続き)は必ず必要です。
次のいずれかに当てはまる場合は、早めに現状を確認しておく必要があります。
- 相続人が2人以上いる
- 自宅以外に賃貸物件や土地を所有している
- 借入金が残っている
- 賃貸経営を引き継げる子どもが決まっていない
- 親と一部の子どもだけが同居している
- 一部の子どもが建物の管理や介護を担っている
- 底地、借地権、共有不動産など権利関係が複雑である
- 相続税の支払いに使える預貯金が少ない
相続税は、正味の遺産額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する基礎控除額を超える場合に申告・納税が必要になります。、基礎控除額以下で相続税が発生しない家庭でも、遺産分割をめぐる問題は起こります。
そのため、あなたが確認すべきなのは相続税の有無だけではありません。
不動産を所有している場合は、次の4つを分けて考えることが重要です。
| 確認する価値 | 意味 |
| 相続税評価額 | 相続税を計算するときの価額 |
| 市場価格 | 実際に売却できると考えられる価額 |
| 収益力 | 賃料収入から経費や借入返済を差し引いた収支 |
| 家族にとっての価値 | 住まい、仕事、管理負担、思い入れなど |
相続税評価額が低い不動産でも、修繕費や管理負担が大きければ、引き継ぐ家族にとって良い財産とは限りません。
逆に、市場価格よりも相続税評価額が高くても、家族の住まいや安定した収入源として重要な不動産もあります。そのため不動産単体をそれぞれ分けて分析していく必要も出てくるわけです。
なぜ不動産が相続対策になるのか|時価と相続税評価のズレ
不動産が相続対策として語られる最大の理由は、時価(実際に売れる価格)よりも相続税評価額の方が低くなる傾向があることです。
- 土地は「路線価方式」または「倍率方式」で評価され、公示地価のおおむね8割程度の水準になることが多い
- 建物は「固定資産税評価額」で評価され、建築費の5〜7割程度になることが多い
- 賃貸中の物件は、借地権・借家権の分だけさらに評価が下がる(貸家建付地・貸家の評価減)
同じ1億円でも、現金で1億円持っているより、1億円で購入した不動産を持っている方が、相続税の計算上の評価額は低くなりやすいということです。これが「現金より不動産の方が相続税に強い」と言われる根拠です。
ただし、評価が下がるからといって不動産を増やせば増やすほど得をするわけではありません。
相続対策1|分割対策
分割対策とは、誰が何を引き継ぐか決める準備です。
相続が発生したあとに家族が揉めないように、財産の分け方を生前から財産の分け方を整理しておくことです。
特に不動産所有者にとって、3つの相続対策の中で最も重要なのが分割対策です。
現金1,000万円であれば、相続人2人で500万円ずつに分けられます。
しかし、自宅や賃貸マンションを物理的に半分に分けることはできません。
そのため、不動産が多い相続では、次のような意見の違いが起こります。
- 長男は賃貸物件を残したい
- 次男は現金で相続したい
- 同居している子どもは自宅に住み続けたい
- 別居している子どもは不動産を売却して公平に分けたい
- 管理をしてきた子どもは多く受け取りたい
- 他の子どもは家賃収入を平等に受け取りたい
家族の仲が悪いから揉めるとは限りません。
むしろ、生前に親の考えや不動産の状況を共有していなかったため、相続後に初めて意見の違いが表面化するケースが多くあります。
分割対策をしなかった場合の具体的なリスク
遺産分割協議がまとまらないまま放置すると、次のような不都合が生じます。
- 不動産が相続人全員の共有名義のままになり、売却・建て替え・賃貸借契約の変更などに全員の同意が必要になる
- 誰か1人でも反対すると物件を動かせず、老朽化しても放置されやすい
- 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、相続税を大きく減らせる特例は、原則として遺産分割が確定していることが適用条件になる
- 数年後、相続人自身が亡くなる「二次相続」が発生すると、相続人の数がさらに増え、権利関係が指数関数的に複雑化する
- 相続登記(不動産の名義変更)は2024年4月から義務化されており、正当な理由なく怠ると過料の対象になり得る
つまり、分割を先送りにするほど、後から関わる人が増え、合意形成の難易度が上がっていきます。
不動産が多い方ほど分割で工夫が必要です。
共有名義は一見公平に見えますが、将来的な意思決定を難しくする最大の要因になりやすいため、不動産が多い方ほど早めに分割の方向性を決めておくことをおすすめします。
不動産の4つの分け方
不動産の主な分割方法は次の4つです。
- 現物分割
長男が自宅、次男が賃貸物件というように、不動産をそのまま分ける方法です。
不動産が複数あり、それぞれの価値が近い場合には分かりやすい方法です。
ただし、不動産ごとに市場価格、収益性、修繕リスクが異なるため、固定資産税評価額だけで公平性を判断しないようにしてください。 - 代償分割
一人の相続人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法です。
例えば、自宅に住み続ける長男が自宅を相続し、長男から次男へ現金を支払います。
不動産を共有せずに済む点がメリットですが、不動産を取得する人に代償金を支払える資力が必要です。
- 換価分割
不動産を売却し、売却代金を相続人で分ける方法です。
公平に分けやすい反面、自宅や代々所有してきた土地を残せなくなる可能性があります。
また、相続発生後に慌てて売却すると、十分な調査や売却準備ができず、条件の悪い売却になることがあります。 - 共有分割
兄弟姉妹で不動産を共有する方法です。
一見すると公平ですが、将来の売却、建替え、大規模修繕、借入れなどについて、共有者同士の調整が必要になります。さらに、共有者が亡くなると、その持分が配偶者や子どもへ相続され、共有者が増えていきます。
そのため、共有は「公平に分ける方法」ではなく、問題の判断を次世代へ先送りする方法になっていないか慎重に確認する必要があります。
相続対策2|納税対策
納税対策とは、相続税を支払う現金を準備することです。
相続税の申告と納税には期限があり、相続の開始(被相続人が亡くなったこと)を知った日の翌日から10か月以内に、原則として現金で一括納付する必要があります。
税金は金銭で一度に納付することが原則です。要件を満たせば延納や物納を申請できますが、自由に選べる制度ではありません。
延納には金銭で一括納付することが困難な事情や担保などが必要です。物納は、延納によっても金銭で納付することが難しい場合に限られます。め、最初から延納や物納を前提にするのではなく、現金で支払えるように準備しておくことが基本です。
不動産が多い家庭で納税資金が不足する理由
相続財産が1億円あったとしても、その大部分が土地や建物であれば、相続税を支払えるとは限りません。
不動産が多い家庭では、次のような問題が起こります。
- 預貯金が少ない
- 賃貸物件の借入金が残っている
- 家賃収入を借入返済や修繕に使っている
- 売却できる不動産が決まっていない
- 相続人同士で売却の合意ができない
- 境界や共有、借地権などの問題で売却に時間がかかる
- 空室や老朽化により想定価格で売れない
納税期限までの10か月は、長いようで短い期間です。
戸籍の収集、相続人の確定、財産調査、不動産評価、遺産分割協議、相続税申告を進めながら売却まで完了させるのは、簡単ではありません。
納税対策としてできること
- 相続税額を概算する
まず、現在の財産額を基に、相続税が発生する可能性と概算額を確認します。
正確な相続税額の計算は税理士へ依頼する必要がありますが、最初の段階では次の資料を用意すると現状を把握しやすくなります。
・固定資産税の納税通知書
・不動産の登記事項証明書
・預貯金残高
・有価証券の残高
・生命保険の契約内容
・借入金残高
・賃貸借契約書
・地代や家賃の収支資料 - 売却候補の不動産を決める
「相続が発生したら、どれかを売ればよい」と考えるだけでは不十分です。
次の点まで確認しておきます。
・誰が相続するのか
・相続後に売却することについて家族が納得しているか
・境界が確定しているか
・入居者や借地人がいるか
・共有者の同意が得られるか
・抵当権を抹消できるか
・売却に必要な期間はどの程度か
・売却後に譲渡所得税が発生するか
納税用の不動産は、単に価値が高い物件ではなく、期限内に売却しやすい物件を選ぶことが重要です。 - 預貯金を残す
相続税対策として現金をすべて不動産へ組み替えると、相続税評価額は下がっても納税資金が不足することがあります。
相続税だけでなく、葬儀費用、専門家費用、建物修繕費、空室期間中の返済なども考慮し、一定の現金を残してください。
- 生命保険を活用する
被相続人が保険料を負担していた死亡保険金を相続人が受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」まで相続税の非課税限度額があります。
相続人以外が受取人の場合、この非課税枠は利用できません。
相続対策での生命保険の活用は、受取人を指定でき、相続発生後の比較的早い時期に現金を受け取りやすいため、納税資金や代償金の準備に活用できます。ただし、契約者、被保険者、受取人の組み合わせによって課税される税金が変わるため、契約内容を確認してください。
相続対策3|節税対策
節税対策とは、法律の範囲内で相続税の負担そのものを軽くする準備です。
相続税評価額や課税対象となる財産を適正に抑え、家族に残る財産を守りながら税負担を抑えることです。
ただし、節税額だけを基準に対策を選んではいけません。
例えば、1,000万円の相続税を減らすために、収益性の低い不動産を購入して2,000万円の資産価値を失えば、家族に残る財産は減ってしまいます。
節税対策を検討するときは、次の式で考えてください。
節税によって減る税金-購入費用-借入利息-維持費-将来の損失=家族に残る実際の効果
税金が下がったかではなく、対策後に家族へ残る純資産が増えているかを確認する必要があります。
不動産オーナーに関係が深い代表的な節税対策
相続の節税対策で行う代表的な節税対策を整理します。
- 生前贈与
- 賃貸物件の建築・購入
- 不動産管理会社の設立
- 生前贈与を計画的に行う
生前に財産を子や孫へ移しておくことで、将来の相続財産そのものを減らせます。
ただし2024年の税制改正により、亡くなる前の一定期間に行われた贈与は相続財産に「持ち戻し」(加算)されるルールの対象期間が、これまでの3年から段階的に7年へ延長されています。
2026年時点で亡くなった場合は実質的に相続開始前3年以内の贈与が持ち戻しの対象ですが、今後、死亡のタイミングによって対象期間が伸びていくため、贈与は「直前に慌てて行う」のではなく、できるだけ早い時期から計画的に進めることが有利になります。
*参照:国税庁「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」 - 賃貸物件の建築・購入による評価減
更地に賃貸物件を建てる、あるいは金融機関からの借入を活用して収益物件を購入することで、相続税評価額を圧縮できる場合があります。借入金は相続財産から債務として差し引けるため、評価額の圧縮効果と合わせて節税につながる仕組みです。
ただし、この方法には次のようなデメリットも伴います。
・借入には返済リスクがあり、賃貸経営が計画通りにいかない場合は家計や事業を圧迫する
・節税効果だけを目的にした過度な借入・購入は、税務署から「不当な租税回避」と判断され否認された裁判例もある
・収益性の低い物件を無理に購入すると、相続後にかえって家族の負担になる
・相続税評価は下げられたとしても、市場価値がない物件の建築・購入してしまうリスクを伴う。
節税額の大きさだけで判断せず、「その物件を家族が今後も保有・運営していけるか」を必ず合わせて検討してください。 - 不動産管理会社の設立(法人化)
所有する不動産の管理や賃貸経営を法人化することで、所得を法人と個人(相続人となる家族)に分散し、将来の相続財産の増加を抑える方法もあります。
【法人化の主なメリット】
・家族を役員にすることで所得を分散でき、結果的に将来の相続財産の増加を抑えられる
・法人を通じて計画的に役員報酬を支払うことで、生前贈与に近い財産移転効果が得られる
・不動産経営を「事業」として引き継ぎやすくなる
【法人化の主なデメリット】
・設立費用・毎年の税理士報酬など、維持コストがかかる
・個人の所得税と異なり、赤字でも法人住民税の均等割などの負担が発生する
・既存物件を個人から法人へ移す場合、不動産取得税・登録免許税・譲渡所得税などのコストがかかることがある
・相続税評価が必ず下がるとは限らず、物件の規模や収益性によっては効果が乏しいこともある
法人化は効果が大きい分、設計を誤ると余計なコストだけがかさむ対策でもあります。物件の規模がある程度大きい方向けの選択肢と考え、必ず専門家とシミュレーションした上で判断してください。
なぜ不動産が相続対策になるのか|時価と相続税評価のズレ
不動産が相続対策として語られる最大の理由は、時価(実際に売れる価格)よりも相続税評価額の方が低くなる傾向があることです。
- 土地は「路線価方式」または「倍率方式」で評価され、公示地価のおおむね8割程度の水準になることが多い
- 建物は「固定資産税評価額」で評価され、建築費の5〜7割程度になることが多い
- 賃貸中の物件は、借地権・借家権の分だけさらに評価が下がる(貸家建付地・貸家の評価減)
土地は路線価方式または倍率方式で評価され、建物は原則として固定資産税評価額を基に評価されます。、土地や建物を第三者へ貸している場合は、所有者が自由に利用できないことを考慮して、貸家や貸家建付地として評価額が調整されることがあります。
このように、市場価格と相続税評価額に差が生じることが、不動産が相続税対策に使われる理由です。
ただし、どの不動産でも必ず評価額が低くなるわけではありません。
物件の種類、所在地、利用状況、賃貸割合、権利関係によって評価方法は異なります。
また、一定の要件を満たす自宅敷地や事業用地、貸付事業用地については、小規模宅地等の特例を利用できる場合があります。
主な限度面積と減額割合は次のとおりです。
| 土地の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
| 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
小規模宅地等の特例を利用するためには、取得者、居住状況、事業の継続、保有期間などの要件を満たす必要があります。
「自宅だから必ず80%減額される」「賃貸物件なら必ず50%減額される」という制度ではありません。
また、誰がどの土地を相続するかによって適用結果が変わるため、小規模宅地等の特例は分割対策と一緒に考える必要があります。
相続対策として不動産を購入するメリットとデメリット
不動産購入メリット
- 現金より相続税評価額が低くなる可能性がある
- 賃貸によって収入を得られる
- 借入金が相続時に債務控除の対象になることがある
- 資産を次世代へ残せる
- インフレによる現金価値の低下に備えられる場合がある
不動産購入デメリット
- 空室や家賃下落のリスクがある
- 修繕費、管理費、固定資産税がかかる
- 借入金の返済が続く
- 簡単に現金化できない
- 相続人が管理できない可能性がある
- 物件の価値が下落する可能性がある
- 不動産の分け方をめぐって揉める可能性がある
- 購入価格と相続税評価額の差だけを目的にすると、税務上問題になる可能性がある
不動産購入による相続対策が向いているのは、節税効果だけでなく、賃貸需要、収益性、借入返済、将来の売却、家族の承継まで説明できる場合です。
「相続税が安くなる」という理由だけで購入しないようにしてください。
相続対策で不動産活用のメリットとデメリットまとめ
| 観点 | メリット | デメリット・注意点 |
| 評価額 | 時価より評価額が下がりやすく節税につながる | 評価が下がりすぎると分割時に不公平感が出やすい |
| 収益性 | 家賃収入で納税資金を計画的に準備できる | 空室・修繕リスクで想定通りの収入が得られないことがある |
| 分割 | 複数物件があれば相続人ごとに分けやすい場合もある | 1つの物件しかない場合は共有名義になりやすい |
| 借入活用 | 評価圧縮と資産形成を同時に狙える | 返済負担・金利上昇リスクを相続人が引き継ぐ |
| 法人化 | 所得分散・計画的な資産移転がしやすい | 維持コストと移転コストがかかる |
不動産による相続対策は「節税効果」だけを見るのではなく、分割のしやすさ・納税資金の確保・相続人の生活への影響まで含めて、総合的に判断することが欠かせません。
この記事を読んで「自分の場合は?」と思った方へ
相続・借地・共有・空き家・不動産活用など、
今のお悩みに近いコースを選び、いくつかの質問に答えると、
次に確認したいことを整理できます。
※売却や契約をおすすめする診断ではありません。
不動産が多い人の相続対策の進め方
- 第1段階|財産と権利関係を見える化する
次の資料を集めます。
・固定資産税の納税通知書
・登記事項証明書
・公図、測量図、建物図面
・賃貸借
・契約書
・借地契約書
・借入金の返済予定表
・火災保険や
・生命保険の契約書
・預貯金、有価証券の残高
・不動産収支の資料 - 第2段階|不動産を4つに分類する
所有する不動産を次のように分類します。
・残す不動産:自宅、事業用地、収益性の高い賃貸物件など、家族に残したい不動産です。
・売却候補の不動産:相続税の納税資金や代償金を準備するため、将来売却する可能性がある不動産です。
・改善する不動産:空室対策、修繕、賃料改定、建替え、権利調整などによって価値を高められる不動産です。
・整理する不動産:共有持分、利用予定のない土地、収益性の低い物件、管理負担が大きい物件などです。 - 第3段階|家族の希望を確認する
次のことを家族それぞれに確認します。
・自宅に住み続けたい人はいるか
・賃貸経営を引き継ぎたい人はいるか
・不動産より現金を希望する人はいるか
・管理や借入返済を引き受けられるか
・売却について抵抗があるか
・家賃収入をどのように考えているか
親が「長男が継ぐと思っていた」と考えていても、長男本人は管理を希望していないことがあります。
家族の意向を確認せずに遺言書や法人化を進めると、対策そのものが新しい対立の原因になることがあります。 - 第4段階|分割・納税・節税を比較する
対策案ごとに、次の項目を比較します。
・分割:誰が何を引き継ぐか
・納税:現金をどのように準備するか
・節税:相続税がどの程度変わるか
・収支:借入返済後に現金が残るか
・管理:誰が管理するか
・売却:将来売却できるか
・家族:各相続人が納得できるか
・リスク:空室、修繕、金利、権利関係など
この比較を行うことで、「税金は安くなるが家族の負担が増える対策」と「税金は多少残るが家族が無理なく引き継げる対策」を区別できます。
よくある質問
- Q相続対策は何歳から始めるべきですか?
- A
明確な年齢基準はありません。
ただし、判断能力が十分にあり、家族と話し合えるうちに始めることが重要です。
不動産の売却、権利調整、測量、建替え、法人化などには数年かかることがあります。70代、80代になってから考えるのではなく、不動産を所有していて相続人が複数いる場合は、早めに現状整理だけでも始めてください。
- Q相続税がかからなくても対策は必要ですか?
- A
必要な場合があります。
相続税がかからなくても、不動産の分け方、共有、空き家、管理、借入れ、相続登記などの問題は発生します。
相続税がかからないことと、相続で揉めないことは別の問題です。
不動産のように分けにくい財産がある場合は、特に早めの準備が家族間のトラブル防止につながります。
- Qなぜ不動産が相続対策になるのですか?
- A
不動産は時価より相続税評価額が低くなりやすく、賃貸物件であればさらに評価が下がる仕組みがあるためです。
ただし評価が下がる分、分割のしにくさや納税資金不足のリスクも合わせて考える必要があります。
- Q借金を増やせば相続税は安くなりますか?
- A
一定の借入金は債務控除の対象になりますが、借入れと同時に取得する資産も相続財産になります。
借金だけを増やして相続税を下げる仕組みではありません。
相続税評価額の差だけでなく、返済能力と物件の収益性を確認してください。
また、借入で取得した物件が市場価値が低いような場合には逆に資産を毀損してしまうリスクがあるため物件選定が大切です。
まとめ|相続対策は節税ではなく、家族と資産を守る設計
不動産の相続対策には、次の3つの基本があります。
- 家族が揉めないための分割対策
- 相続税を支払うための納税対策
- 家族に残る財産を守るための節税対策
最も避けたいのは、節税対策を優先した結果、相続人が管理できない不動産や時価評価が低く売却困難だったり、返済できない借入金を残してしまうことです。
不動産は、相続税評価額だけでは判断できません。
市場価格、収益力、権利関係、管理負担、家族の住まい、相続人同士の公平感まで含めて考える必要があります。
あなたが最初に行うことは、不動産を購入することでも、生前贈与を始めることでもありません。
まずは、次の4つを整理してください。
- どのような財産を所有しているか
- それぞれの不動産にどのような問題があるか
- 誰が何を引き継ぐことを希望しているか
- 相続税と納税資金はいくら必要になるか
そのうえで、分割・納税・節税の順に対策を組み立てれば、相続税だけでなく、相続後の家族の生活と不動産の将来まで考えた準備ができます。
株式会社ユー不動産コンサルタントでは、相続税を下げる方法だけを提案するのではなく、不動産の権利関係、収益性、売却可能性、家族それぞれの希望を整理したうえで、複数の選択肢を比較します。
売却ありきではなく、保有、活用、組替え、権利調整、法人化などを同じ土俵で比較し、家族が納得して不動産を引き継げる形を設計します。
